こんにちは、くるまっさです。
今回は、渡辺憲司さんの「海を感じなさい。」という本(メッセージ集)をご紹介したいと思います。
本の著者と東日本大震災
著者の渡辺憲司さんは、東日本大震災が起きた年に立教新座中学校・高等学校の校長先生をされていました。震災の影響で、卒業式を中止にせざるを得なくなった渡辺さんは、学校のホームページを通じて卒業生へのメッセージを掲載し、大きな反響を呼びました。
くるまっさと東日本大震災
東日本大震災が発生したその日、私は高校1年生で、学年末の定期テストの最終日でした。昼過ぎにテストから解放された私は、すぐに秋葉原に遊びにいき、そしてヨドバシAkibaのゲーム売り場で「真・三國無双6」の公式攻略本を立ち読みを始めたその時、揺れに襲われました。
天井の蛍光灯が落ち、商品棚が倒れ、慌てて外に出ると割れた窓ガラスがアスファルトの上に散らばっていました。
徒歩とバスで大回りをしながら何とか池袋駅まで移動し(当時、スマートフォンなどは持っておらず、歩く方向は適当にならざるを得ませんでした)、深夜1時過ぎまで池袋駅のコンコースで寝た経験は、一生忘れないでしょう。
この本は、「東日本大震災」のテーマで始まります。
初めて読んだ時、自分の震災体験が鮮明に思い起こされ、言葉にできない強烈な感情が湧き出ました。是非、多くの方(特に私と年齢の近い方)に読んでいただきたいと思っています。
本の内容
この本は、2つの章で構成されており、1章が「メッセージ集(詩集に近い)」、そして2章が「渡辺憲司さんから(主に若者へ)の長文メッセージ」となっています。
全144ページ中、122ページまでが1章で、大半を占めています。
メッセージは、見開き2ページで1つ(もちろん、前後との関連はあります)で、それぞれ長くても300字程度です。読むだけなら、全体で30分もかからないのではないでしょうか。
メッセージのテーマは、以下の通りです。
- 海を感じなさい。ー生きるとは?
- 森で耳をすませなさい。ー言葉の力とは?
- 長く続く道を信じなさい。-正義とは?
- 石ころを手に取りなさい。-孤独とは?
- 雲を眺めてみなさい。-夢とは?
- 山の頂きを想い浮かべなさい。ー理想とは?
- 桜の木に聴いてみなさい。-命とは?
- 冷たい風に頬をさらしなさい。-友情とは?
- 空に身をゆだねなさい。-自由とは?
- 星の輝きに胸をときめかせなさい。-恋とは?愛とは?
このうち、一番初めの「海を感じなさい。」という部分が、東日本大震災と大きく関わっています。震災で強烈な体験をした方であれば、間違いなく引き込まれるでしょう。
最後に、私の好きな部分のいくつかを抜粋してご紹介したいと思います。ただ、メッセージが、前後のストーリーとともに存在して強い魅力を生んでいるので、是非とも実際の本(Kindle版でも可)を手に取っていただいて、このメッセージ集の世界観を感じて欲しいなと思います。
哀悼の祈りを、過ぎ去る時にうずめてはならない。
怯えた停滞と忘却は、罪だ。
君だけが踏み出せる「一歩」があるはずだ。
(P. 24)
孤独を歓びなさい。
青年期には、自分が絶対に一人であることを見つめないと、
前に進めないときがある。
くそまじめに、武骨に「自分」を見つめる、
誇り高き孤独の季節がいまだ。
(P. 54)
永遠の恋はありえないが、
愛は永遠を求める。
恋は歓びを共有するしながら躍動するが、
愛は、さびしさやつらさ、
悲しみも共有して、深く鎮静する。
(P. 119)